マリオ64RTAを始めたいけどSwitch Online版ってどうなの?という方向けの解説【入力遅延・費用】
2021年10月26日からNintendo Switch Online + 追加パックに加入することでNINTENDO 64のソフトをプレイできるようになりました。
「マリオ64RTAを始めたいんだけど、このサービスのマリオ64(以下NSO版)ってどうなの?」という方もいると思います。
実際にプレイしてみた感想も踏まえ、この疑問に対する私的回答を紹介します。選択の一助になれば幸いです。
※2021/10/31時点での情報です。
【参考】Switch版に関するページは『環境・ツール』の『Switch版関連のページ』にまとめてあります。
回答: NSO版はあくまで入門向け
『とりあえずRTAをやってみたいのならNSO版で十分だが、本格的にRTAをやるならN64(実機)がオススメ』というのが私的回答です。
ただし、今後サービスが改善されれば話は変わるので、その点はご留意ください。
上記回答の理由ですが、『入力遅延面』と『費用面』から成り立ちます。以降のセクションで解説します。
理由1: 入力遅延が大きい
理由1つ目として、NSO版は入力遅延が大きく、1フレーム単位の入力を要求されるRTAで使うのには厳しい点が挙がります。
本格的にやるのにオススメできないのはこの理由が全てです。
NSO版にはクイックセーブ機能があったり、N64コンが使えたり、北米のNSO版なら『ケツワープ』(バグ技)ができたりとメリットはあるのですが、入力遅延がこれらメリットを台無しにしていると言っても過言ではありません。
具体的にどれぐらい入力遅延があるのかは有志の方々が調べてくれています。
※結果がフレーム表記のものはmsに変換しています。
検証動画 | N64(CRT) | NSO | マリコレ |
---|---|---|---|
ムタマ氏1 ムタマ氏2 |
93.33ms | 136.66ms | 124.99ms |
naircat氏 | 88.3ms | 162.1ms | N/A |
ゆとりん氏 | N64(CRT) vs NSOで約49.99ms差(約3F差) | ||
kimagre氏1 kimagre氏2 |
N/A | 133.33ms | 83.33ms |
ムタマ氏の検証では、
- N64: Aボタンを押す→93.33ms後にマリオがジャンプ
- NSO: Aボタンを押す→136.66ms後にマリオがジャンプ
という結果で、43.33ms≒2.6Fほどの遅延差がありました。
普段からゲームをしている方であれば、入力が遅延しているのをはっきりと認識できるレベルだと思います。私もかなりの入力遅延を感じました。
この入力遅延のせいで特に難しいと感じた入力は『足場の端で次の操作を行なう時の入力』です。
例えば、ファイアバブルランドのサイホーンという技。
できる限り足場の端で三段ジャンプを出す必要がある技ですが、入力遅延のせいで三段を出せずにそのままマグマへ落ちることが多かったです。
▲実際にサイホーンを試した時の動画(ミス&リカバリ)
サイホーンに限らず、マリオ64RTAでは猶予フレームの少ない技やフレーム単位での入力調整が多いため、NSO版の入力遅延に慣れたとしても安定度を上げるのは至難の業だと思います。
理由2: 環境を揃えるのに地味に費用がかかる
理由2つ目として、本格的なNSO版の環境を揃えるのに、N64の環境並みの費用がかかる点が挙がります。
費用を以下の表にまとめてみました。N64側はテレビ(モニター)を購入しない前提、NSO側はSwitch本体を持っている前提となっています。
環境 | 費用 | 内訳 |
---|---|---|
N64(レトロゲーム店で直接購入) | 10,600円程 | 9,800円(N64本体+N64コン) + 800円(カセット) |
N64(ネットオークション系で購入) | 3,500~5,500円程 | 3,000~5,000円(N64本体+N64コン) + 500円(カセット) |
NSO(公式サイトで購入) | 10,378円 | 4,900円(12ヵ月プラン) + 5,478円(無線N64コン) |
『レトロゲーム店でN64の環境を揃える場合の費用』と『NSO版の環境を揃える場合の費用』がほぼ同じであることが分かると思います。
もしN64の環境の半額程度で済ませられるのであれば、理由1の入力遅延を考慮してもオススメできたのですが……、残念ながらそうではありませんでした。
ただし、この面はサービスが改善されれば話は変わるので、今後に期待しておきましょう。
まとめ
上記2つが『とりあえずRTAをやってみたいのならNSO版で十分だが、本格的にRTAをやるならN64(実機)がオススメ』の理由となります。
既にSwitch本体を持っている方の現実的な落としどころとしては、
- NSO版を入手し、手持ちのコントローラ(Proコンなど)で適当に16枚RTAなどを通してみる
- その上で極めたくなったのなら、N64の環境を揃える
といったところでしょうか。
また、既にNintendo Switch Onlineに加入している方や、NSOのN64サービスで他にやりたいゲームがある方は、追加パックに加入してRTAを試してみても良いかもしれません。
その他、NSO版よりもマリコレ版のほうが入力遅延が少ないため、もし無線N64コンがマリコレ版に対応したらマリコレ版でRTAをするのはアリだと思います。
本記事は以上となります。N64の環境の揃え方などは以下のページで紹介していますので、参考にどうぞ。