【マリオ64 RTA】WF 二段かごを勉強してみた

考察テクニック,バッタンキングのとりで

2019年頃から『バッタンキングのとりで とりかごへストーン』にて、二段かごというテクニックが使われるようになった。

これは、主流である三段かごを二段ジャンプに変えたバージョンだと思ってくれれば良い。

私は今までこのテクニックを一度も試したことがなかったのだが、今年末にあるオフラインRTAイベント『RTA in Japan 2019』の16枚RTAの記事を書く上で情報が必要になったので、ちょっと勉強してみたわけだ。

本記事では勉強して分かったことを書いていくが、知って得する情報があるかは分からないので、期待しないで読んでほしい。

柵ひっかけ二段 vs 階段慣性JK二段

まず、浮島にたどり着くまでの話。このパートでよく話が挙がるのが「柵ひっかけ二段と階段慣性JK二段どっちが良いの?」という話題である。

柵ひっかけ二段とは、柵に引っ掛けた勢いでそのまま二段を出すテクニックで、昔からよく使われているお馴染みのやつだ。

このテクニックは、二段ジャンプが階段に吸われてしまうことが時々あるという弱点を持っている。

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この弱点を回避するべく生み出されたのが階段慣性JK二段というテクニック。これは、柵に引っ掛けた後、階段を利用して慣性JK二段を出すテクニックである。

このテクニックは、柵ひっかけ二段に比べて壁キックまでのタイムが遅くなるという弱点を持っている。(0.1x~0.2秒程度遅い)

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このようなどちらが良いとも言えない特徴があるために、ごくまれに、柵ひっかけ二段 vs 階段慣性JK二段論争が起こることがある。

先に話しておくと、この論争の結論は三段かご/二段かご/反転かごどれを使うかによって変わるという感じなのだが、この後、順番を追って説明しよう。

二段かごが出る前はどうだった?

二段かごがRTAで使われるようになる前は、三段かごと反転かごの2つが使われていた

これら2つについて、「三段を使うか反転を使うかの差でしょ」というような理解をしている人もいるかもしれないが、それは全くの間違いで実は大きく異なるのだ。

では、どう異なるのか……、まずは反転かごから。

反転かご: 大体同じタイムになる

反転かご(ダイブ復帰無し)は、浮島に乗った後、歩いて浮島の端まで行き、反転ジャンプを出してかごを蹴るテクニックだ。

先ほど「柵ひっかけ二段のほうが階段慣性JK二段よりもちょっと速い」と話したが、この事実のみで判断するならば、柵ひっかけ二段を使用したほうがタイムが速くなるはずだ。

しかし、反転かごの場合はそうはならない。

その理由は、浮島に乗った後の歩く量が階段慣性JK二段のほうが少ないからだ。とは言ってもイメージが沸かないと思うので、ライン取りを図示してみた。

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(柵ひっかけ二段が赤いライン取り、階段慣性JK二段が青いライン取り)

浮島に初めて乗った位置で比較すると、階段慣性JK二段のほうがより反転ジャンプを出す位置の近くで着地していることが分かる。なので、歩く量が減るわけだ。

つまり、反転かごにおいては、

  • 最初の壁キックまで: 柵ひっかけ二段のほうが速い
  • 浮島に乗ってからカゴキックまで: 階段慣性JK二段のほうが速い

という感じになるので、総合すると同じくらいのタイムになる(んだったと記憶している)

ちなみに、現行のTASの世界記録でも階段慣性JK二段が使われているが、その理由は今話した原理の通りだと思う。(TASの場合は浮島の端でガタりたいのも理由だけど)

三段かご: 柵ひっかけ二段のほうが速い

三段かごは、浮島に乗った後着地キャンセルし、三段ジャンプでかごを蹴るテクニックだ。

ライン取りを図示したのが以下となっている。

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(柵ひっかけ二段が赤いライン取り、階段慣性JK二段が青いライン取り)

柵ひっかけ二段の場合、ちょうどいい感じに三段ジャンプするスペースを確保でき、且つ、三段ジャンプを浮島の端で出せるので、浮島上の動きでのロスはない。

その他に柵ひっかけ二段と階段慣性JK二段の差はないので、つまりは、『最初の壁キックまでのタイム』だけが主な差となるのだ。

ゆえに、三段かごにおいては、

  • 最初の壁キックまで: 柵ひっかけ二段のほうが速い
  • 浮島に乗ってからかごキックまで: 同じぐらい

という感じになるので、総合すると柵ひっかけ二段のほうが速くなる

ここまで読んで分かったと思うが、反転かごと三段かごは『浮島の初着地 ~ かごを蹴るまで』の動きを見ると全くの別物となっている。

では、2段かごの場合はどうなるのか、次のセクションで説明する。

二段かご: 柵ひっかけ二段のほうが0.1秒速いが誤差の範疇と言える

二段かごは、浮島にジャンプダイブで乗った後、くるりとまわってジャンプキック(JK)二段ジャンプでかごを蹴るテクニックだ。

まず、階段慣性JK二段にて、かなりかご寄りに着地した場合(反転かごではベストな場合)を見てみる。

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この場合、壁キックの角度が浅いので、かごにくるりと向くまでの量は少なめだが、正面を向いた段階で二段を出すスペースが足りない問題が発生する。

これで無理やり二段を出すとするならば、JK時にかなり失速させたりしないとそのまま落下してしまうだろう。

ゆえに、

  • 最初の壁キックまで: 角度を浅くするためにタイムロス
  • 浮島の方向転換: 少ない
  • JK二段時: スペースが足りないため調整必須

となるため、ここまで角度を浅くしなくても良いと考えられる。

では、階段慣性JK二段にて、浮島の中央あたりに着地した場合を見てみる。

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この場合、壁キックの角度がさっきより深いので、かごにくるりと向くまでの量は少し増えるが、JK二段時はスティック真上で良い。

ゆえに、

  • 最初の壁キックまで: 角度を少し深めにするためタイムロスは減る
  • 浮島の方向転換: 少し増えた
  • JK二段時: スペースがちょうどいいのでロスはない

となるため、先ほどよりは良いタイムを出すことができると思う

最後、柵ひっかけ二段の場合。

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この場合、壁キックの角度がさっきよりも深いので、かごにくるりと向くまでの量は先ほどよりも増え、スペースに余裕がありすぎるためにスティック真上でJK二段を出すことが可能である。

つまり、二段かごにおいては、

  • 最初の壁キックまで: 柵ひっかけ二段のほうが速い
  • 浮島に乗ってからかごキックまで: 階段慣性JK二段のほうが柵ひっかけ二段より速い

という感じになり、実際にテストしてみたところ、0.1秒ほど柵ひっかけ二段のほうが速いようだった。

しかし、これぐらいは誤差の範疇だと思うので、やりやすい方法を選択したほうが良いというのが私の意見となる。

なお、今回のテストでは、かなり斜め目に柵ひっかけ二段をしたものを使用したので、斜めではなく縦目に柵ひっかけすると結果が変わるかもしれない。(縦目だとちょうど良い可能性がある)

かごキック時の話

ここのシーンは、JK二段時にニュートラルを入れたほうが良いみたいな話をちらほら聞いたので、その話を念頭に置きながらテストした。

また、『最速(1F目)壁キックにするか』『2F目壁キックにするか』で話が変わるので、ひとまず2F目壁キックを前提に考えた。

まずは、以下の画像を見てほしい。

これはJK二段~かごまでの間、スティックをずっと真上に倒した状態でかごキックした画像(かごに衝突した初フレーム)で、この時二段かごは失敗に終わる。

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続いてもう1枚。

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これはJK二段~かごまでの間、二段中にスティックを少しゆるめてかごキックした画像(かごに衝突した初フレーム)で、この時二段かごは成功する。

私はこれら画像やその他試した動画により、2F目壁キックで成功するか否かは壁キックの位置に依存しているのだと考えた。

具体的には、マリオがかごにぶつかるフレームで、マリオの帽子が下から2つ目の太い線(赤い線)に届いていると成功して、ちょっとでも届いてないと失敗するといった感じである。

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続いて、最速(1F目)壁キックの場合を調べてみた。

最速壁キックの場合、かごキック到達前までに速度をかなり落とさなければ成功しない。どれぐらいが限界なのか調べてみたところ、壁キック手前のフレームで速度24程度より下回っていると成功するようだった。

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この後、最速壁キックと2F目壁キックを比較してみたところ、面白いことが判明。

以下が壁キックが出た初フレームの画像で、1枚目が最速壁キック、2枚目が2F目壁キックとなっている。

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見て分かったと思うが、速度(22)も高さもほぼ一緒なのだ。この発見から推測したのが以下となっている。

  • 最速壁キックのパターンは速度をかなり落とさなければならない、そして結局のところは、2F目壁キックと同じ程度の速度まで落とすことになる。
  • 壁キックが出たフレーム以降は速度がほぼ一緒になるので、スターを取るまでもほぼ一緒の動きとなる。

以上から、二段かごを成功させるための方法をまとめると以下となる。

  • ある程度の高さでかごキックする必要がある。
  • かごキックしたフレームのマリオの速度が22以下である必要がある。

ちなみに、2F目壁キックの場合は、かごに衝突する時の速度はその後に影響しないので意識する必要はない。(参考タスでは速度32だった)

また、最速と2F目どちらが速いかという話だが、一般的な壁キックであれば、1フレーム速く壁を蹴れる最速壁キックのほうが速いことがほとんどだ。

しかし、二段かごでは、最速壁キックの場合はかなり速度を落とさないといけないため、速度を落とす部分でタイムロスが発生する。ゆえに、結局は同じタイムとなる。

RTAで使える安定方法を考えると?

今まで『最速壁キック』『2F目壁キック』と見てきたが、3F目のかごキックで成功するかは分からないので、とりあえずこの2Fで成功させることを考える。

当たり前だが、『最速壁キック』のほうが先のフレームなので、こちらで安定する方法を考えて、その方法のリカバリとして『2F目壁キック』が成立するのなら、それがベストである。

今までの調査より、『最速壁キック』では、スティックをかなり緩めて速度を落とさなければならないことは分かっている。ということは、高度もそれなりに稼げているはずなので、同じやり方で『2F目壁キック』が成立する可能性がある。

調査時に作成した『最速壁キック』タスを利用して試してみたところ、予想通り、『2F目壁キック』でも成立することが分かった。よって、かご衝突前の速度が24以下になる方法を見つければ、その方法は『最速壁キック』『2F目壁キック』の両者で成り立つと考えられる。

ということで、残りは『どうやって速度24以下にするか』を考えるだけである。ぱっとプレイした感じでは、

(1) 二段ジャンプ後に一瞬右にずらす
(2) 後はスティックニュートラルでかごキック

というのが良さそうに感じた。

(1)で右にずらす理由は、かごの左側を狙うと、速度が十分落ちないうちにかごに到達してしまい失敗するからである。

上で示したのはあくまで一例なので、あとは各々で自分のやりやすい方法を模索してみてほしい。

以下のアッキー氏のやり方も、今までの考察通りの結果となっているようなので、今回の考察は意外と信ぴょう性が高いように感じられる。(この考察が100%正しいかは分からないけど)

むすび

現状、二段かごはオプション的な立ち位置にいるが、理想タイムに近いタイムが出せるという意味で着地キャンセルを使う三段かごよりも優秀なので、もし安定させられるのなら使ったほうが良さそうである。

これにて勉強した話を終える。

ちなみに、既にRTA Gamersにて16枚RTAの記事をアップしているので、興味のある方は読んでみてほしい。(以下の記事は一般向けに書いているので、オタクじゃなくても読むことができる)