【マリオ64 RTA】THI100枚レースの歴史&現在はどうなっている?

考察ちびでかアイランド, 歴史

現在、120枚RTAのちびでかアイランドでは、『ハナチャンのあかコイン+100枚コイン』(100枚赤)の組合せを使っているが、裏組合せとして『ノコノコリターンマッチ+100枚コイン』(100枚レース)という組合せも存在する。

今回はこの裏組合せの歴史を振り返り、「現在はどちらの組合せが良いのか」を考察してみる。

2012年: 100枚レースの登場

100枚レースの組合せは、はちみつ氏が2012年に出したものとなっている。

参考動画は以下で、

ルートの流れをざっくりまとめたのが以下となる。

(1) でか島から入り、外回りのコインを回収して赤コイン洞窟へ。

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(2) 赤コイン洞窟のコインを回収したら、外へ出て、ノコノコに話しかける。

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(3) レース中はコインを回収しながらゴールを目指す。

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(4) ゴール後、ノコノコのゴールを待っている間に、近場のクリボー2匹と橋のコインを回収して終わり。

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(上記スクリーンショットは全てはちみつ氏の動画から)

当時、100枚レースの評価はどんな感じだったのか――100赤との比較形式で紹介しよう。

タイム面

結論を述べると、『100枚レースのほうが120枚RTAなら1秒程度速く、ワンステージRTAなら3.5秒程度速い』という評価だった。

なぜ、120枚RTAとワンステージRTAで評価が異なるのかは、ステージ入場の回数に秘密がある。

まず、大前提として、ちびでかアイランドは『ちび島スタート』のほうが『でか島スタート』よりも2.5秒ほど速い。

120枚RTAにて、どちらに何回入るかは以下のようになっており、100枚レースの組合せは『でか島2回分(5秒程度)』だけ遅くなることが分かるだろう。

  • 100枚赤の組合せ: でか島0回、ちび島6回
  • 100枚レースの組合せ: でか島2回、ちび島4回

一方で、ひとつのステージのみ計測する『ワンステージRTA』では、スター選択から計測開始となるため、入場1回分がなくなる……、つまり『でか島1回分(2.5秒程度)』しか差が無いのである。

この点を踏まえた比較を、All ideas 2013で行なっており、

この比較から『100枚レースは、120枚RTAなら1秒程度速く、ワンステージRTAなら3.5秒程度速い』という結果が得られたのだ。(処理落ちを含まない)

組合せ 総合タイム 100枚+α 単体 城内移動
100枚赤(杭カット)+レース 136.46秒 87.75秒 48.71秒 0秒
[120枚RTA] 100枚レース+赤 135.37秒 102.16秒 28.21秒 2.5秒×2
[ワンステRTA] 100枚レース+赤 132.97秒 102.16秒 28.21秒 2.5秒×1

ルート面

はちみつ氏が考案したルートは1つ弱点がある。

それは『チョコボールの乱数が悪いとレースに負ける可能性が高い』という点だ。

以下の画像ははちみつ氏の動画の一部なのだが、チョコボールがノコノコを足止めしていることが分かると思う。

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当時は「この乱数(足止め)を引けないとレースに勝つのが難しい」と言われていて、それがゆえに、120枚RTAで使うのはリスクが高いと考えられていた。

以上から、当時は以下のように総評していた覚えがある。

■ワンステージRTAの場合

100枚レースを使うべき。タイム短縮量がそれなりにあるし、チョコボールの乱数も粘れるからである。

■120枚RTAの場合

100枚赤を使うべき。タイム短縮量が微妙な上、120枚RTAの後半ステージで、レースに負けてリセットになるのはもったいないからである。

2015年: 100枚スター+レーススターの改善

時は進み2015年。私は、はちみつ氏のルートを改良したルート案をアップした。

「チョコボールの乱数次第でレースに負ける可能性があるのをどうしたら良いか」という悩みから生まれた案となっている。

主な変更点は以下。

(1) 細い橋周りのコインを、赤コイン洞窟後に回収するように変更。(1枚目がはちみつ氏のルート、2枚目が私の案)

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(2) 今までレース中に倒していたクリボー1匹を先に倒すように変更。

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この案は、

  • 単純にはちみつ氏のルートより速い
  • 坂の大ジャンプによって、ノコノコに話しかけつつもクリボーを先に倒すことができる

という、二重の意味での改善案となっている。

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この案と最適化によって、当時のタイム比較は以下となっていた。

(All ideas 2015でのタイム、処理落ちを含まない)

組合せ 総合タイム 100枚+α 単体 城内移動
100枚赤(杭カット)+レース 133.99秒 84.91秒 49.08秒 0秒
[120枚RTA] 100枚レース+赤 129.77秒 97.16秒 27.61秒 2.5秒×2
[ワンステRTA] 100枚レース+赤 127.27秒 97.16秒 27.61秒 2.5秒×1

120枚RTAであれば4.22秒、ワンステージRTAであれば6.72秒、100枚レースのほうが速い結果だ。

当時、案の難易度やタイム短縮量を見た私は「120枚RTAで使っても良いのでは」と思っていたのだが、残念なことに使われることはなかった。

その理由は以下だと推測している。

  • 各プレイヤーのスキル向上により、100枚赤でも速いタイムが出せるようになってきたため、わざわざ新ルートを取り入れるほどではなかったから。
  • 私の案は、乱数が悪すぎるとレースに負けてしまう可能性があるので、安定とは言えなかったから。
  • 120枚RTAにおいて、落下死のリスクがある『赤コイン洞窟』を2回もやりたくないから。

2018年: 120枚RTA向け100枚レースの提案

次に話が出たのは2018年。

120枚RTAの各ルートが煮詰まってきたこの時期に、「100枚レースは本当に使えないの?」と再提起するプレイヤーが出てきた。

これをきっかけに、私は『レースに負けなくて可能な限り速いタイムが出る方法』を考えることにしたのだ。

考えた結果は以下の動画の通りで、

主な変更点は以下となっている。

(1) 序盤にある杭のコインを回収するように変更。

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(2) チョコボールの足場の上にいるクリボーを倒さないように変更。

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この案は、レース中に回収するコイン5枚分をレース前の杭で回収する案で、はちみつ氏のルートの時代から安全案として知られていた案だ。

「この安全案でも良いタイムが出るのでは」という思いを込めて、2018年になって改めてアップしたという感じである。

この案でのタイム計算(処理落ちを含まない)は以下。

組合せ 総合タイム 100枚+α 単体 城内移動
100枚赤(杭カット)+レース 128.86秒 82.90秒 45.96秒 0秒
[120枚RTA] 100枚レース+赤 128.26秒 96.50秒 26.76秒 2.5秒×2
[ワンステRTA] 100枚レース+赤 125.76秒 96.50秒 26.76秒 2.5秒×1

120枚RTAであれば0.60秒、ワンステージRTAであれば3.10秒、100枚レースのほうが速い結果となっている。

最適化が進んだことで、2015年の調査時と比べ、各スターのタイムが若干速くなっているのが分かるだろう。

特に、レース単体のタイムが3.1秒程度も速くなっており、それによって両組合せの差が縮まっていると思う。

この比較動画がアップされた時期は、一部のプレイヤーが100枚レースを練習していたようなのだが、タイム短縮できるレベルまでにならずに没案となってしまった。

2019年: ワンステージRTAの更新

時は進み、2019年2月。

「120枚RTAで100枚レースの組合せは厳しいだろう」という状況の中、Goldrush氏によってワンステージRTAが更新された。

この更新では、私の2015年の100枚レース案の一部改良版が使われていた。

具体的な改良点は、赤コイン洞窟の前の三段で、無理やりコインを1枚多く回収している点である。(画像は上記動画から)

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当時のGoldrush氏のコメントをざっくりまとめたのが以下となっている。

  • 100枚レースで杭を使うルートは大体2秒程度遅くなるが、その分レースに負けにくい。
  • 改良版ルートは、1枚多くコインを回収する分、ジュゲム+ヘイホーで1枚逃しても良いのがメリット。

2020年7月現在: 理想タイムでの比較

以上の歴史を経て、現在に至る。

ここまで読んでいる方なら、「現状、理想タイムで比較するとどれぐらいの差なの?」と思うはずなので、それを紹介しよう。

2019年にGoldrush氏が人間のタイムで試算していたので、それを更新してみた。(タイムはultimate sheetからで、リアルタイムでの比較)

組合せ 総合タイム 100枚+α 単体 城内移動
100枚赤(杭カット)+レース 132.62秒 85.08秒
(84.33IGT)
47.54秒
(47.30IGT)
0秒
100枚赤(杭)+レース 136.97秒 89.43秒
(88.76IGT)
47.54秒
(47.30IGT)
0秒
[120枚RTA] 100枚レース+赤 133.89秒 101.50秒
(100.20IGT)
27.29秒
(27.00IGT)
2.6+2.5秒
[ワンステRTA] 100枚レース+赤 131.39秒 101.50秒
(100.20IGT)
27.29秒
(27.00IGT)
2.6秒

速い順に並べると以下となるので、

[速い] 100枚レース(ワンステ) < 100枚赤(杭カット) < 100枚レース(120枚RTA) < 100枚赤(杭) [遅い]

100枚レースが使えなさそうに見えるかもしれない。

ただ、100枚レースは、Goldrush氏がチャレンジした記録がそのままベスト記録となっているので、他のプレイヤー達がチャレンジすればもっと速くなる可能性が高い。

よって、上記の計算は、100赤のほうは結構正確だと思うが、100枚レースは参考程度に見なければならないと思う。

2020年7月現在: 実際のRTAで考えてみる

先のセクションで理想タイムでの比較を行なったが、実際はどれぐらいのタイムが出れば、120枚RTAで100枚レースのほうが速くなるのだろうか。

実際の通しレベルでの100枚赤から逆算してみることにする。(リアルタイムでの比較)

大体138秒といったところなので、このタイムから『赤コイン単体(通しレベルで29秒)』と『ステージイン5秒』を引いてみると……。

138 – 29 – 5 = 104秒

RTA通しの人間ベストTHIと同等のタイムを出すには、100枚レースで104秒以下を出す必要があることが分かる。

100枚レースの人間ベスト記録がリアルタイムで101.50秒なので、そこから2.5秒程度の余裕がある計算となる。

以上で、2020年7月時点での100枚レースの考察を終える。

最後に、私なりの意見を以下にまとめておく。

  • 100枚レースは、ちび島がない分ミスりにくいと思う。安定したタイムが出せるなら有りかも。
  • 100枚レースは、最後ノコノコをゴールで待たせることになるので、レースタイムを考えなくて良いのはメリットか。
  • 100枚レースで104秒以下を安定させるには、かなりの練習が必要だと思う。

むすび

現行の100枚レースは、「120枚RTAで使えるかどうか」と聞かれると微妙なところであるが、速いルートやアプローチが見つかれば、主流ルートになる可能性がある。

一応、今回紹介したルート以外にも、ちび島スタートの100枚レース案などをかなりの数考えてみたりしたのだが、全て没案だった。

ただ、このステージはコインの枚数が多いため、私が見逃しているルートが存在するかもしれない。今後も考えてみるつもりではいる。