【マリオ64 RTA】アイクン先 vs アイクン後! HMC100赤を再調査してみた

考察やみにとけるどうくつ

やみにとけるどうくつ そうさリフトのあかコイン+100枚コイン』(HMC100赤)では、2020年6月現在、通称『アイクン後ルート』が使われている。

このルートは、私の調査が元になって主流になったルートなのだが……。調査日が2015年4月なので、既に5年も経っているのである!

「アプローチ・最適化も進化しているし、この調査結果は信用ならないのでは」

――こう考えた私は、2020年版として、改めて『アイクン先 vs アイクン後』を調査することにした。

今回はその調査結果、及び簡単な考察を紹介しよう。

アイクン先・後ルートとは

この2つのルートのことを知らない方もいると思うので、軽く解説する。

  • アイクン先ルートとは、赤コイン洞窟のアイクンを迷路地帯前に回収するルート
  • アイクン後ルートとは、赤コイン洞窟のアイクンを迷路地帯後に回収するルート

となっている。

ここでいうアイクンとは、以下の画像のアイクンのことである。

hmc-100reds-eyeearly-vs-eyelate-1

両ルートの大きい違いはこの点だけで、その他のパートはほとんど一緒だ。

動画などを見たい方は『そうさリフトのあかコイン+100枚コイン』のページを参照してほしい。

冒頭でも話したように、2015年の調査によって主流ルートが『アイクン先ルート』から『アイクン後ルート』へ変わったのだが、まずはその調査結果を紹介しよう。

2015年の調査結果と私が言いたかったこと

2015年の調査では、アイクンの青コインが落ちる場所(乱数によって決まる)を11か所に分け、それぞれの場所ごとに『アイクン先ルート』『アイクン後ルート』を比較した。

比較動画は以下で、

結果をまとめたのが以下の表となる。(青文字 = アイクン後が速いパターン)

hmc-100reds-eyeearly-vs-eyelate-2

場所 結果
1 アイクン先のほうが0.56秒速い
2 アイクン後のほうが0.36秒速い
3 アイクン後のほうが0.60秒速い
4 アイクン後のほうが0.83秒速い
5 アイクン後のほうが0.10秒速い
6 アイクン後のほうが0.83秒速い
7 アイクン後のほうが0.06秒速い
8 アイクン後のほうが0.73秒速い
9 アイクン先のほうが1.16秒速い
10 アイクン先のほうが1.20秒速い
11 アイクン先のほうが0.20秒速い

この結果を『どちらが速いか』で色分けすると、直観に近い傾向が出ていることが分かるだろう。

  • 次の扉に近い位置に落ちるとアイクン先のほうが速い(赤色)
  • 次の扉に遠い位置に落ちるとアイクン後のほうが速い(青色)

hmc-100reds-eyeearly-vs-eyelate-3

当時、私はこの動画を通して、以下のことを言いたかったのだが……。

  • アイクン後のほうがより多くの乱数パターンで速くなりそう。
  • ただ、どれも1秒前後の差だから、どっちのルートを使っても良いのでは。
  • アイクン後ルートは、ゴロ岩をほぼ確実に回避できるのが強み。

この意図を汲んでアイクン後ルートが主流になったかは、今もなお謎に包まれている。

『ゴロ岩をほぼ確実に回避できる』の意味は、アイクン先の場合、ゴロ岩地帯の5枚コイン列で100枚スターを回収するため、運が悪いと回収後の動き出しでゴロ岩にぶつかってしまうが、それを回避できるという意味である。

hmc-100reds-eyeearly-vs-eyelate-4

主流ルートのいきさつはさておき、実は、この動画に付け加え忘れた内容がある。それは『理論上(良乱数の場合)どちらが速いか』という話だ。

当時いくつか作った参考用TASによると、理論上はアイクン先のほうが少し速い結果となっていた。つまり、先で紹介した『言いたかったことリスト』にこの情報を加えていたら、『ルートはお好みで良い』のがより強調されるはずだ。

「もしこの情報を付け加えていれば、主流ルートにならなかったかもしれない」

――私は5年間このことにモヤモヤしていて、2020年6月になってようやく『理論上どちらが速いか』を再調査する気になったのである。

(最適化されたアプローチで再調査しておきたいという気持ちもあった。)

どちらのルートが最速か in 2020年

今回は、以下の条件で比較してみた。

  • アイクンの青コインは良乱数
  • 滑り台終了時、クモがこちらに来るパターンと来ないパターンの両方を考慮

『クモがこちらに来る条件』などの考察は、この記事では書ききれないので、別途記事にして紹介する予定である。

比較動画

■クモがこちらに来ないパターン(赤コイン洞窟攻略が早すぎるパターン)

結果: アイクン後ルートのほうが1.6秒速かった。

■クモがこちらに来るパターン(赤コイン洞窟攻略が人間標準の早さのパターン)

結果: アイクン後ルートのほうが0.8秒速かった。少し乱数が悪いと同じぐらいのタイムとなった。

まとめ: アイクン後ルートのほうが速い

驚くべきことに、2020年の調査では、理論上はアイクン後ルートのほうが速い結果となった。

ただ、その差は1.5秒程度なので、アプローチが1つ悪いだけでひっくり返ってしまうぐらいの結果だと思う。

この情報を付け加えた私なりのまとめは以下で、現在はアイクン後のほうがメリットが大きいのではないだろうか。

  • アイクン後のほうがより多くの乱数パターンで速くなりそう。
  • 良乱数で比較すると、アイクン後のほうが速い。
  • ただ、どれも1秒前後の差だから、どっちのルートを使っても良いのでは。
  • アイクン後ルートは、ゴロ岩をほぼ確実に回避できるのが強み。

最後に、どうして、2015年の調査で『理論上はアイクン先ルートのほうが少し速い』という結果になったのかを考えてみた。

動画が残っていなかったので推測になるが、以下の2点のどちらかだと思う。

  • アイクン後ルートで、神乱数(赤コインスター側に落ちる乱数)を引けていなかったかも?
  • スター全体のタイムで比較していた可能性があり、共通パートでかなりの誤差が出ていたのかも?

やはり、比較をする際は、必要パートに絞った上で、最善の乱数を引く必要があるのかもしれない。

むすび

今回を通して分かったと思うが、よく知られている事実でも、数年前に見つかった事実はあてにならないことがある。(ルート・アプローチなどが進化した結果、事実が変わる場合があるからである。)

なので、マリオ64RTAの情報は日々アップデートすることをオススメしたい。

さて、記事の途中で述べた通り、この調査のついでに『クモがこちらに来る条件』などの考察も行なった。

その考察は、別途記事にして紹介するので、気になる方は読んでみてほしい。