マリオ64RTA用にどんなテレビ(モニター)を使えば良い?

環境・ツール

本格的にマリオ64RTAを始めたい方は、「本気でやるならどんなテレビ(モニター)を使えば良いの?」と疑問に思っていることかと存じます。

本ページは、この疑問を解決するべく、代表的なテレビ(モニター)の購入方法などをまとめます。

今現在代表的なテレビ(モニター)は何?

2020年現在、マリオ64RTAプレイヤーでの代表的なテレビ(モニター)は大きく分けて2種類あります。以降で、それぞれを解説します。

(1) ブラウン管
(2) RetroTINK + PC用モニター

(1) ブラウン管

マリオ64に限らず、昔からRTAで使われているテレビとして『ブラウン管』があります。

現在売られているテレビ(液晶・有機EL等)は、ゲームモードを使ったとしても、ある程度の表示遅延が発生する傾向にあります。一方、ブラウン管は表示遅延が小さいため、RTAに向いています。

本セクションでは、ブラウン管に関する情報をまとめます。

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▲ブラウン管とは、例えばこんなもの。

購入経路

メルカリヤフオク!ジモティーなどで購入または譲り受けるのが一般的です。条件が合えば、タダ同然で手に入ることもあります。

 

選び方

1. 画面の明るさを調整できるかを確認

画面の明るさが調整できるブラウン管を選ぶと良いです。画面が暗いままだと、例えば『やみにとけるどうくつ』で、奥から来るゴロ岩が見えないなどの弊害があるためです。

リモコンが無い場合は、画面の明るさを調整できないことが多いので、注意してください。

 

2. 入力端子を確認

小さいブラウン管だと、コンポジット端子の入力しか付いていない場合が多いです。もしS端子を使いたい場合は、その点も確認しましょう。

 

3. 画面の形状を確認

ブラウン管には、大きく分けて『球面タイプ』と『平面タイプ』があり、それぞれのメリット・デメリットは以下となります。これらを考慮して選びましょう。

■ 球面タイプ

  • メリット: 表示遅延が小さいものが多い
  • デメリット: (球面なので)画面が見にくい

■ 平面タイプ

  • メリット: 画面が比較的見やすい
  • デメリット: 表示遅延が大きいものが多い

 

4. ハイビジョンブラウン管ではないことを確認

ハイビジョン(HD)ブラウン管は、映像処理の関係上表示遅延が大きいため、選ばないほうが良いです。

※ハイビジョンブラウン管は基本的に平面タイプです。

 

5. ブラウン管の寸法を確認

ブラウン管は奥に長い分、スペースを取ります。

購入前に、型番検索などで購入予定のブラウン管の寸法を調べ、部屋に置けるかどうかを確認するようにしましょう。

 

高価だが画質が良いブラウン管もある

PVMやBVMと呼ばれる業務用ブラウン管もあり、こちらのほうが家庭用のものよりも画質が良いです。

また、表示遅延もわずかですが家庭用のものよりも小さいことが多いため、お金に余裕のある方はこちらを検討してみても良いでしょう。

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▲PVMとは、例えばこんなもの。

(2) RetroTINK + PC用モニター

ここ数年で、(マリオ64に限らず)RTA界でお馴染み化しつつあるのが『RetroTINK + PC用モニター』です。

現在の海外のマリオ64RTAコミュニティでは、ブラウン管よりもこちらをオススメする傾向にあり、また、筆者もこちらをオススメしています。

本セクションでは、このセットに関する情報をまとめます。

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▲筆者が使っているRetroTINK(RetroTINK-2X Classic)。

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▲PC用モニターとは、例えばこんなもの。

RetroTINKとは?

RetroTINKとは、3色ケーブルやS端子+2色ケーブルをHDMIへ変換するツールです。これを用いると、PC用モニターでもマリオ64をプレイできるようになります。

HDMIへ変換するツールは他にもありますが、RetroTINKはそれらと比べ、比較的安く手に入る上・高性能であるため、非常に人気があります。

詳細は割愛しますが、気になる方はYouTubeで『RetroTINK』と検索してみると良いでしょう。(紹介動画が数多くあります)

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▲『RetroTINK-2X Classic』へのS端子+2色ケーブルでの接続例です。給電にはMicroUSB(TypeB)を使います。この製品はMiniHDMI出力ですが、他製品はフルサイズのHDMI出力となっています。

 

RetroTINKの選び方

■ オススメの製品は?

現在、RetroTINKには複数の製品がありますが、マリオ64だけで良いのなら『RetroTINK-2X MINI』をオススメします。

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▲これがRetroTINK-2X MINI(公式ページより引用)。

RetroTINK-2X MINIとは、上位製品である2X Proからいくつかの機能が削られた製品です。マリオ64をやるだけの場合であれば、必要な機能は満たしている上、格段に安価なため、この製品をオススメしています。

 

■ 購入経路

本製品は、公式サイトから購入することをオススメします。なお、海外からの輸入となるので、来るまでに1~2週間程度かかります。そのつもりで待ちましょう。

公式の製品購入ページ: RetroTINK-2X MINI _ RetroTINK

 

■ RetroTINK-5X/4Kシリーズはどうなのか

よくある疑問として、「5X/4Kシリーズはどうなの?」という疑問があると思うので、ここで紹介します。

5X Proの製品ページ: RetroTINK-5X Pro _ RetroTINK
4K CEの製品ページ: RetroTINK-4K CE _ RetroTINK
4K Proの製品ページ: RetroTINK-4K Pro _ RetroTINK

前提として、RetroTINK環境における表示遅延量は『(A) RetroTINKの信号変換による遅延量』と『(B) PCモニター側のリスケールなどによる遅延量』の合計で決まります。

まず2Xシリーズの場合は、(A)の遅延量は1ミリ秒未満ですが、出力解像度が480p固定です。現在のモニターでネイティブ解像度が480pであるものはほぼ無いことから、2Xシリーズを使用する場合、モニター側でネイティブ解像度にリスケールする必要が出てきます。その処理の速さによって(B)の遅延量が決まるため、結果的に表示遅延量がモニターに大きく依存します。

一方で5X/4Kシリーズの場合は、(A)の遅延量は最も低遅延なモードにしても数ミリ秒あります。しかし出力解像度を変更できるため、その解像度がモニター側のネイティブ解像度とフィットしていれば、モニター側でリスケールなどの処理が走らなくなり、(B)の遅延量が減らせる可能性があります。

こういった違いがあり、5X/4Kシリーズでも出力解像度とPCモニターの組み合わせによっては、良い環境を作れるケースがあります。

しかし、5X Proは2Xシリーズの2倍以上、4K CEは3倍以上、4K Proに至っては5倍以上の価格であるため(※)、マリオ64のみを考えると無難に2Xシリーズでの環境づくりをオススメします。

※2025年4月時点で2X MINIが99.99ドル、2X Proが139.99ドルに対し、5X Proは325ドル、4K CEは475ドル、4K Proは750ドル。

 

PC用モニターの選び方

PC用モニターはAmazonヨドバシ・ドット・コムといったネットショップから家電量販店まで、様々な場所で購入することができます。

ただし、RetroTINK-2Xの信号変換による遅延はほぼゼロであることから、表示遅延量はモニター側に大きく依存するため、基本的にはゲーミングモニターを選びましょう。

モニター購入時に確認するべき点は次の3点となります。

 

1. 低遅延を謳っているモニターが低遅延とは限らない

低遅延のゲーミングモニターでも、RetroTINK-2Xと組み合わせて使う場合遅延が大きくなることがあります。

モニターの遅延テストは基本的に最大解像度・リフレッシュレート(1080p144Hzなど)で行なわれていますが、マリオ64プレイ時にRetroTINK-2Xを接続した際の解像度・リフレッシュレートである480p60Hzでも同等の遅延量とは限らないためです。

なお、表示遅延と応答速度は同義ではないため、その点にも注意しましょう。

 

2. アスペクト比変更機能があるかを確認

マリオ64はアスペクト比4:3のゲームですが、RetroTINK-2Xは少しワイド(3:2)な映像を出力します。よって、4:3でプレイしたい場合は、モニター側でアスペクト比を変更する必要があります。

購入予定のモニターに4:3へのアスペクト比変更機能があるかを確認したほうが良いでしょう。

 

3. スピーカーが内蔵されているか&音量を調整できるかなどを確認

ゲーム音を聞けないと不都合が多いため、モニター本体にスピーカーが内蔵されているかor音声出力できるか&音量を調整できるかを確認しましょう。

 

筆者が知っているモニター(型番)

※本セクションで紹介しているモニターは『RetroTINK-2X』シリーズを使用する前提で記載しています。

筆者が知っているモニターを以下にまとめます。あくまで参考なので、購入は自己責任で行なってください。

なお、記載している遅延量は『Time Sleuth Display Lag Tester』で画面左中央を計測したものとなります。

 

★★★ 確実に良いと分かっているモニター

実際に使用した経験があるなど、確証が高めのモニターたちです(順不同)。

 

・ASUS VZ249HR (2020年)

実際に筆者が使っている23.8型モニターです。ゲーミングモニターではありませんが、2Xシリーズとの相性が良く、遅延が小さいです。

なお、この製品と同じシリーズに『VZ229H』(21.5型)があり、480p60Hz入力時の遅延量がブラウン管に比べて1.8ミリ秒程度と、こちらも2Xシリーズと相性の良いモニターとなっています。

スピーカー: あり 音声出力端子: なし

Amazon: https:/www.amazon.co.jp/dp/B07LH1ZDSL

 

・I-O DATA LCD-RDT242XPB (2015年)

KANNO氏が現在使っている23.8型モニターです。『ラグテスターを使用してのディスプレイ表示遅延検証』にて、2Xシリーズと相性が良いと紹介されており、480p60Hz入力時の遅延量はブラウン管に比べて2ミリ秒程度とのことです。

KANNO氏によるブラウン管との比較テスト動画もあります。参考にどうぞ。

スピーカー: あり 音声出力端子: あり

Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/B017L2B3PU

 

・I-O DATA LCD-GC252SXB (2019年)

atmpas氏が一時期使っていた24.5型モニターです。480p60Hz入力時の遅延量はブラウン管に比べて2.8ミリ秒程度とのことです。

この『LCD-GC252SXB』と販路による型番違いの同一製品として、『EX-LDGC252STB』と『KH252V-ZS』があるようです。

スピーカー: あり 音声出力端子: あり

Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/B07YXT8C3N

 

・ASUS VG249QM1A (2023年)

atmpas氏が現在使っている23.8型モニターです。480p60Hz入力時の遅延量はブラウン管に比べて1ミリ秒程度と、かなりの低遅延です。

注意点ですが、アスペクト比を16:9または入力と同じ比率にしか設定できないため、2Xシリーズを使用する場合には画面が少しワイド(3:2)になります。その点が気にならないのであれば、選択肢に加えても良いでしょう。

スピーカー: あり 音声出力端子: あり

Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/B0C68JHBRX

 

★★ 多分良いと思われるモニター

最上位勢が使っているため、多分良いと思われるモニターたちです(順不同)。

身近に使っている人がおらず、実際に触ってみた感覚が分からないことから『★★』としています。が、実際に触ってみて問題なければ『★★★』に昇格する予定です。

 

・ViewSonic XG240R

海外のマリオ64イベントで使われたことのある24型モニターで、Dwhatever氏が現在使っています。

実際に本モニターでマリオ64をプレイしている映像は、Dwhatever氏のVlogで確認できますので、そちらをご覧ください。

 

・ASUS VS248HR

こちらもDwhatever氏が所有している24型モニターです。本人曰く、ひとつ前に挙げた『ViewSonic XG240R』と同じ程度の性能に感じるとのことです。

 

・Acer XF240H

Weegee氏が過去に使っていた24型モニターです。本人曰く、かなり遅延が小さく結構良いモニターだそうです。

 

・ViewSonic VX2476-smhd

2023年夏のRTA in Japan(RTAイベント)でKANNO氏が使用した23.6型モニターです。本人曰く、自宅の環境と同じだったとのこと。

ただ、イベントでは5X Proを使用していたため、2Xシリーズの場合にどの程度の遅延量かは分かりません。

 

★ オススメしないモニター

オススメしないモニターたちです(順不同)。今後の購入者が不向きな製品を選ばないように記載しておきます。

 

・ASUS VX228H

本セクション冒頭の写真のモニターです。21.5型・スピーカー内蔵ですが、アスペクト比変更機能がありません。下手なモニターよりは遅延は小さいものの、若干遅延していると思います。

 

・BenQ GL2480

24型・気になるぐらい遅延がありましたので、絶対にオススメしません。レビュー記事によると1080p60Hz入力時の遅延は小さいようなので、480p60Hz入力との相性が悪いのかもしれません。

また、アスペクト比変更機能自体は存在しますが、2Xシリーズを経由した場合だとうまく機能しませんでした(原因不明)。

 

・ASUS VG258QR

atmpas氏が所有している24.5型モニターです。解像度問わず60Hz入力時の遅延が大きく、480p60Hz入力時の遅延量はブラウン管に比べて画面左上で8.5ミリ秒、左中央で5.5ミリ秒、左下で2.7ミリ秒程度となっています。

測定結果から判断するに、モニター自体がネイティブ60Hz駆動に対応していないと考えられます。

 

・Sceptre E255B-1658A

Dowsky氏が現在使っている24.5型モニターです。本人曰く、良くないモニターとのことです。特にスピーカーの音質がかなり悪いようです。

 

・BenQ RL2460

2019年末のRTA in Japan(RTAイベント)で用意されていた24型モニターです。

『ASUS VX228H』よりも遅延が小さいように感じましたが、遅延検証のページによると480p60Hz入力時の遅延が大きいようなので、ここに記載しています。

 

・Dell P2719H

2023年夏のRTA in Japan(RTAイベント)のフリースペースに設置されていたモニターのひとつです(27型)。atmpas氏曰く、自分が所有しているモニターよりも遅延が大きく感じたとのこと。

筆者のオススメは(2)

筆者としては『(2) RetroTINK + PC用モニター』のほうをオススメします。

その理由は、ブラウン管に引けを取らない性能であるのにもかかわらず、買いやすい上、ブラウン管のデメリットの多くを解消しているからです。

  • ブラウン管と比べ、画面が見やすく、少ないスペースでも設置できる。
  • HDMI入力が2口以上あるモニターであれば、PC用モニター兼RTA用モニターとして使える。
  • RTAに飽きたとしても、そのままPC用モニターとして使える。

ただし、導入費用はブラウン管のほうが安いので、その点も考慮して選んでみてください。

むすび

テレビ(モニター)は、プレイヤーのRTA人生を決める重要な要素のひとつです。

実際にRTAしているプレイヤーに使っているテレビの型番を聞くなどして、自分に合ったものを選ぶようにしましょう。