【マリオ64 RTA】BitFS 赤コインスターを考察したら新ルートができた件 前編

考察ほのおのうみのクッパ

2019年3月。ほのおのうみのクッパ 赤コインスター(以下、BitFS赤と略す)のアイデアを上げた。

このアイデアを上げるまでの経緯を前編(この記事)で語り、考察を後編で語ることにしよう。

きっかけ

アイデアを上げた前日、マリオ64RTAのアイデアを議論する場所に『5th coin fs idea – YouTube』がアップされていた。

BitFS赤にて、『赤コイン5枚目のアプローチを幅跳び+慣性JK+二段ダイブにする』というアイデアとなる。

このアイデアをきっかけに、「そういえばBitFS赤って更新点ないのかな?」と疑問に思って色々考えたところ、以下の動画を思い出したのだ。

Rikku氏の120枚TAS: [TAS] [Obsoleted] N64 Super Mario 64 “120 stars" by Rikku in 1:39:02.13 – YouTube

――全てはこのTASを考察するところから始まる。

Rikku氏の120枚TASでやっていること

私がこのTASを思い出したのは、このTASでは、面白い順番で金網かごまわりの赤コインを回収しているからだ。

具体的には、以下の順番となる。(画像はRikku氏の動画から)

(1) ポールの下側を掴んで、ジャンプダイブでエレベータ下の赤コインを回収。

bitfs-reds-new-route-part1-1 bitfs-reds-new-route-part1-2

(2) 天秤式の足場の赤コインを回収。

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(3) かごの中の赤コインを回収して、そのまま三段で上に上がる。

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現行ルートではかごに2回行く手間がある。それに対し、Rikku氏のTASはかごに1回しか行っていない。

それゆえ、「この順番であれば、多少調整に時間かかっても速そうだな」と思い、この順番に試す価値を感じたのである。

金網かごまわりを改善する意味

既にマリオ64RTAをしている方なら、「金網かごまわりを改善しても、最速周期に乗るのが変わらないから意味ないじゃん」と思うかもしれないが、そんなことはないのだ。

……その前に、まずは、基礎的な話をしよう。

BitFSは、以下の金網リフトが上下に固定周期で動いており、RTAでは一番速い周期(最速周期)に乗れるかどうかが勝負になってくる。

逆に言うと、最速周期にさえ乗れていれば、大体同じぐらいのスタータッチタイムを出すことができる。

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だからこそ、数行前に話したような感想が生まれるわけだ。ただ、私はかごまわりを改善するのにも意味があると思っている。

その理由は以下2点ある。

  • 現行ルートでは、ミスしやすいパートが何個か存在するせいで、(上位プレイヤーでも)RTAの通し中にミスして最速周期を逃すことが多々あるから。
  • 金網リフトまでのパートが『より速く』『より簡単に』できれば、その分だけ最速周期に間に合わせやすくなるから。

ということで、まずは各ルートの導線を比較してみることにした。

現行ルートとRikku氏のルートの導線を考察

まず、現行ルートの赤コイン回収順を確認する。(紫線が導線)

(1) (赤コイン1枚目後)ポールを掴む&離れた後、エレベータを起動し、エレベータ上昇中にかご内の赤コインを取得。

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(2) エレベータのところに戻ってきて、エレベータ下の赤コインを取得。

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(3) 下の足場へ進み、天秤式の足場の赤コインを取得。

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(4) エレベータへ移動。

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現行ルートの特徴は『エレベータが上昇するまでの待ち時間で赤コインを取得する』という効率化をしているところである。

しかし、導線だけを見ると、意外とごちゃごちゃしていることが分かると思うし、「エレベータ下の赤コインは、エレベータを上昇させないと取得できないの?」と思うはずだ。

これらを解決したのがRikku氏のルートとなっている。(赤線が前半の導線、青線が後半の導線)

bitfs-reds-new-route-part1-11

Rikku氏のルートは、かなり無茶な赤コインの取り方をしているが、導線だけを見ると現行ルートよりも最適だということが分かるだろう。

以上の導線の考察を踏まえ、実際にRikku氏のルートが人間でできそうか試してみた。

面白エピソードはないので割愛するが、結論を述べると、

  • エレベータ下の赤コインを取得することはできる。
  • ただ、勢いがつきすぎて、奥の炎の海の絨毯までつっこんでしまうのでやりにくい。

という感じだったので、人間がRTAでやるのには向かないという結果となった。

残りのルート案を考えてみる

Rikku氏のルートと現行ルート以外の導線は、以下の導線しかない。(紫線が導線)

(1) (赤コイン1枚目後)ポールを掴む&離れた後、かご内の赤コインを回収。

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(2) エレベータを起動し、少し待ってから下の赤コインを回収。

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(3) 下の足場へ進み、天秤式の足場の赤コインを取得。

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(4) エレベータへ移動。

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このルート案は、『エレベータの上昇時間(待ち時間)』への考え方を変えているのがポイントだ。

  • 現行ルート: エレベータの上昇時間(待ち時間)を利用し、かご内の赤コインを回収。
  • ルート案: 純粋にエレベータの上昇時間(待ち時間)を待つ。

この案を考えた私は、色々予想を立てる前に、とりあえずこの案を作ってみた。

こちらも面白エピソードは無いので過程は割愛するが、最終的に『この案のほうが1秒以上速い』という結果が得られ、早く公開したい意欲に駆られてとりあえず動画をアップするに至ったのである。

ここまでがこの案をアップした経緯となる。

むすび

虱潰し(しらみつぶし)で考えただけなので、経緯は結構あっさり目に感じただろう。実際私もこの案が速いと分かった時、「こんなもんでルート案が見つかるんだ」という感想を抱いた。

さて、後編では、動画をアップした後に『なぜこの導線で速くなったのか』などを考察したので、その話をする。

残念ながら、『知ったらRTAに役立つ情報』では無いので、時間がある時にでも読んでみてほしい。