70枚RTAの現チャートの考察

考察70枚RTA

※ 本記事は2022/10/16時点での情報となる。今後情報が変わる可能性もあるので留意してほしい。

現在の70枚RTAでは、初心者~中級者向けor一発勝負向けとして『CCM18チャート』、上級者向けとして『CCM17チャート』が存在する。

チャートの詳細はカテゴリページを参照してほしい。

これらチャートにおいて『回収するスターの変更などが本当に無いのか』を今一度考察したので、備忘録の意味も込めて、その内容を本記事に記す。

【追記】以下の動画で本考察を軽く紹介している。

タイムコストから考える

回収するスターを変更するかどうかを考察する上で、重要になるのは各スターのタイムコストである。

タイムコストとは、そのスターを回収するのにかかるタイムのことを指し、一般的には『該当スターを回収するまでのタイム』と『該当ステージの入退場のタイム』を合算したタイムとなる。個別スターのタイム(IGT)とは異なるので注意してほしい。

70枚RTAで使うか使わないかギリギリのラインのスター達のタイムコストは既に調査されており、『70枚スターコスト表 by atmpas』に載っている。

今回はこれをベースに1スターずつ考察していく。

タイムコストが高い順(2022/10/16時点)

※ 全てUS版前提。

コスト スター
47.26秒 CCMレース ※100レースでのコスト
47.23秒 HMC煙迷路
47.20秒 50枚ミップ(SSL後チャート)
45.76秒 SL赤
45.49秒 BBHバルコニー
44.96秒 DDD宝箱
44.81秒 THI赤
44.67秒 50枚ミップ(HMC後チャート)
43.77秒 CCM100枚 ※100スライダーでのコスト
43.10秒 BBH本棚
40.04秒 SSLシクレ

CCMレース 47.26秒

※ CCMレースを単体で回収する場合のコストではなく、CCM100レースで回収した場合でのレース単体のコストである。

『47.26秒』の算出方法:

  • 75.70秒IGT(US) with 三段ダイブ煙突イン&atmpas specialルート。
  • 処理落ちやロード時間を含む。

考察:

  • 遅いスター群で最もコストが高いのがこのスター。
  • atmpas specialルートで47.26秒なので、通常ルートの場合だと48秒台で余計にコストが高くなる。
  • ペンギンがゴールするのを待つ関係上、比較的タイムが安定しやすい。その点を考慮するとぎりぎり候補に入るものとなる。
  • 現在CCM18チャートで回収している理由はLLL終了時点でスター30枚にするため。逆に言えば、この理由が無ければ回収する価値はない。

考えたこと: CCM18チャートをやるぐらいなら、CCM100スライダー&HMC先にするチャートのほうが良いのでは?
⇒ 別セクションにて詳細を記す。

HMC煙迷路 47.23秒

『47.23秒』の算出方法:

  • 31.40秒IGT with 崖掴まりセットアップ無し&壁抜けルート。
  • 処理落ちやロード時間を含む。

考察:

  • CCMレース並みにコストの高いスター。
  • BLJLessの70枚TASでも30.0秒IGT程度(46.8秒コスト)なので、期待できない。
  • 70枚TASでは、壁抜け後に最速壁キック2回しているが、人間的には難しいと思う。
  • エミュやVCであれば処理落ちが無いので、コストが46秒台まで落ちると予想される。なので、エミュやVCであれば代替スターとして使えると考えられる。

50枚ミップ(SSL後チャート) 47.20秒

『47.20秒』の算出方法:

  • LLL前でパンチ掴みルート。
  • 処理落ちやロード時間を含む。
  • 地下ステージ順の変更も含む。

考察:

  • Goldrush氏が一発勝負向けに考案したチャート。SSLシクレを回収しない場合で使う。
  • HMCを先に攻略することからスター枚数的にSSLシクレを回収しなくて良い。
  • 城内移動で多少は誤差が出ると思うが、それでも安定したタイムで回収しやすい。

SL赤 45.76秒

『45.76秒』の算出方法:

  • 30.83秒IGT with 最初大ジャンプルート。
  • 処理落ちやロード時間を含む。

考察:

  • コストが少し高いものの、甲羅に乗る関係上かなりタイムが安定しやすい。
  • 人間最速記録が30.83秒で、理想上はもう少し速いタイムになると思われる。つまり、45.5秒前後のコストになると考えられるが、それでも少し高め。

BBHバルコニー 45.49秒

『45.49秒』の算出方法:

  • 25.76秒IGT with 幅跳びルート。
  • 処理落ちやロード時間を含む。
  • BBHへの往復の道のり(往復)&テキストは含まない。

考察:

  • CCM17チャートで最もコストが高いスター。
  • 本棚は回収する前提で、追加としてバルコニーを回収する場合のコストが45.49秒。(具体的な区間: 本棚のセーブ画面終了~バルコニーのセーブ画面終了)
  • BBHへの往復の道のりをコストに入れていない理由は、本棚は回収が確定しているため。本棚は単体で回収する場合でも他より低いコストなので、回収が確定している。

考えたこと:

  • 理論上はBBHバルコニーを回収するよりもTHI赤を回収したほうが速い。
  • しかし、BBHバルコニーを回収しない場合はLLL終了時点で29枚になるため、HMC後チャートが成立しない。

⇒ BBHバルコニーを外すためにHMCを先に回収するという発想もある。別セクションにて詳細を記す。

DDD宝箱 44.96秒

『44.96秒』の算出方法:

  • 29.90秒IGT with 最初ダウンワープしないルート。
  • 処理落ちやロード時間を含む。
  • 潜水艦より先に回収。

考察:

  • 若干コストが高いスターだが、泳ぎなのでタイムが安定しやすい。その観点から現チャートに組み込まれている。
  • 最近はダウンワープを使う人もいるので、もう少しコストが低くなるかもしれない。
  • 上記2点を考慮すると、チャートから外すことは無いと考えられる。

THI赤 44.81秒

『44.81秒』の算出方法:

  • 26.76秒IGT with でか島スタートルート。
  • 処理落ちやロード時間を含む。
  • THIセーブ画面後にでか島に入場。

考察:

  • 現在回収しないスターの中で理想上は最もコストの低いスター。
  • しかし、理想と実際の差が激しく、実際はもう少しコストが高くなる。理由は特に洞窟内部の誤差が大きいため。
  • 実際のRTA時のタイムは上級者で27.5~28秒あたりになると思われる(+0.7~1.2秒)。
  • だけど、人間で理想に近づけるのはできなくはないため、代替するのであれば有力候補となる。

考えたこと: 70枚TASではちび島スタートで壁抜けルートを使っているが、それはどうなのか?
⇒ 以下がMupen上でのコスト。処理落ち・ロード時間・フレームレートが異なるので参考程度に見てほしい。

70枚TAS RTAルート
最初~土管 5.00秒 5.8秒程度
土管~赤洞窟 6.70秒 同タイム(6.70秒)と想定
赤洞窟内 14.66秒 14.9秒程度
コスト 43.46秒 44.56秒

考察:

  • Mupenなので実機よりもロードが長いと思うが、それを考慮しても、コストは44秒台だと考えられる。
  • でか島スタートルートのコストは44.81秒。
  • 上記2点からちび島スタートルートによる大幅タイム短縮は期待できないことが分かる。

50枚ミップ(HMC後チャート) 44.67秒

『44.67秒』の算出方法:

  • 17.53秒IGT(US) with LLL前でパンチ掴みルート。
  • 処理落ちやロード時間を含む。
  • 地下ステージ順の変更&地下キノピオの回収タイミングの変更も含む。

考察:

  • HMCを後に回す点を含めると低めのコストで回収できるスター。単純に単体だけ回収するのだと遅い(SL赤45.76秒よりも3秒ちょい遅い)。
  • 城内移動で多少は誤差が出ると思うが、それでも安定したタイムで回収しやすい。
  • 地下のステージ順だけでなく、地下キノピオの回収タイミングも変わるので注意。
  • 地下キノピオはHMC後に回収するのが最速だが、本スターを回収する場合はHMC先に回収する必要があるので微ロスとなる。

CCM100枚 43.77秒

※ CCM100を単体で回収する場合のコストではなく、CCM100スライダーで回収した場合での100単体のコストである。

『43.77秒』の算出方法:

  • 68.06秒IGT(US) with 通常ルート(雪山滑りルート)。
  • 処理落ちやロード時間を含む。

考察:

  • スライダーと組み合わせたとしてもコストの低いスター。
  • 大半のパートが滑りなので、タイムが比較的安定しやすい。
  • 通常ルートよりも速いルート(ワープを使わないルートや青コインスイッチを使うルートなど)も存在し、それを使えばさらにコストが低くなる。

BBH本棚 43.10秒

『43.10秒』の算出方法:

  • 11.06秒IGT with 反転左壁キック&二段ひっかけルート。
  • 処理落ちやロード時間を含む。
  • BBHへの道のり(往復)&テキストも含む。

考察:

  • BBHへの道のり(往復)とテキストを含めて43.10秒なので、このスターだけを回収する場合でもチャートから外すのはあり得ない。
  • 単純にタイムが安定しやすいのもメリット。

SSLシクレ 40.04秒

『40.04秒』の算出方法:

  • 24.93秒IGT with タマピラ。
  • 処理落ちやロード時間を含む。

考察:

  • コストは検討する余地がないほどに低いが、ボムピラが必須なので上級者向け。
  • 最速を目指す上では、このスターをチャートから外すのはあり得ない。

議題1: CCMレースはそもそも回収しないほうが良い?

一発勝負前提でのCCM18チャートにて、CCMレースを回収するべきかという話。

  • SSLシクレは回収しない前提。
  • CCM18チャートで回収しているスターで一番高いコストはCCMレースで47.26秒。
  • CCM18チャートで回収していないスターで一番低いコストはTHI赤で44.81秒。
  • CCMレースを回収しないと、LLL終了時点でスターが足りなくなり、HMC後チャートが成立しなくなる。

以上から、CCMレースを外すために以下の考えに至った。

HMCを先に攻略するのはどうだろうか

この場合、チャートを成立させるための方法は以下3つある。結論としては案Bが使える可能性が出てきた。

A: 50枚ミップを素で回収する。

具体的には『SL終了→50枚ミップ回収→3階』という順番になる。コスト比較は以下の通りで遅すぎるため没。※ミップ素回収はSL赤45.76秒よりも3秒ちょい遅い。

チャート 回収スター 合計
現行 47.26(CCMレース) + 44.67(ミップ) 91.93秒
案A 44.81(THI赤) + 49(ミップ) 93.81秒

B: 50枚ミップを別のスターで代替する。

CCM17チャートで回収していないスターで二番目に低いコストはSL赤で45.76秒。これに代替した場合のコスト比較は以下の通りで、案Bのほうが1.4秒分コストが低い。

THI赤のタイムは上級者で+1.2秒と想定しても91.77秒なので、多少は速くなると考えられる。以上から、代替案としてはアリだと思われる。

チャート 回収スター 合計
現行 47.26(CCMレース) + 44.67(ミップ) 91.93秒
案B 44.81(THI赤) + 45.76(SL赤) 90.57秒

C: SSL後チャートを使う。

SSL後チャートを使えば、CCMレースを外したとしてもスター枚数は足りる。コスト比較は以下の通りで、理論上は現行と案Cはほぼ同じぐらいのコストになる。

ただし、CCMレースは通常ルートだとコストが+1秒増える一方で、THI赤もRTA想定だとコストが+0.7~1.2秒増える。

ルートの難易度を考えるとCCMレースのほうが簡単だと思うので、現行のほうが良いと考えられる。

チャート 回収スター 合計
現行 47.26(CCMレース) + 44.67(ミップ) 91.93秒
案C 44.81(THI赤) + 47.20(ミップ) 92.01秒

議題2: BBHバルコニーカットチャートはどうなのか

CCM17チャートにて、BBHバルコニーをカットするのはどうなのかという話。

  • CCM17チャートで回収しているスターで一番高いコストはBBHバルコニーで45.49秒。
  • CCM17チャートで回収していないスターで一番低いコストはTHI赤で44.81秒。
  • 素直にこの2枚を入れ替えることができれば良かったが、スターの枚数の兼ね合いで不可能。

以上から、BBHバルコニーを外すために以下の考えに至った。

HMCを先に攻略するのはどうだろうか

この場合、チャートを成立させるための方法は以下3つある。結論としてはどれも没案だった。

A: 50枚ミップを素で回収する。

具体的には『SL終了→50枚ミップ回収→3階』という順番になる。コスト比較は以下の通りで遅すぎるため没。※ミップ素回収はSL赤45.76秒よりも3秒ちょい遅い。

チャート 回収スター 合計
現行 45.49(BBHバルコニー) + 44.67(ミップ) 90.16秒
案A 44.81(THI赤) + 49(ミップ) 93.81秒

B: 50枚ミップを別のスターで代替する。

CCM17チャートで回収していないスターで二番目に低いコストはSL赤で45.76秒。これに代替した場合のコスト比較は以下の通り。

案Bのほうが若干遅い上、THI赤のタイムは実際はもう少し遅くなるので没。

チャート 回収スター 合計
現行 45.49(BBHバルコニー) + 44.67(ミップ) 90.16秒
案B 44.81(THI赤) + 45.76(SL赤) 90.57秒

C: SSL後チャートを使う。

SSL後チャートを使えば、BBHバルコニーを外したとしてもスター枚数は足りる。コスト比較は以下の通りで遅すぎるので没。

チャート 回収スター 合計
現行 45.49(BBHバルコニー) + 44.67(ミップ) 90.16秒
案C 44.81(THI赤) + 47.20(ミップ) 92.01秒

おまけ: LLL100火山のコストは?

ひと昔前に初心者~中級者向けとしてLLL100と火山スターを合わせるチャートが存在した。

この組み合わせにおいて、100を超大雑把にスタータイムに換算すると以下となる。

  • 100火山: 70秒程度 with 通常ルート
  • 火山単体: 18秒程度 with 手前幅跳び滝登り
  • 100コスト: 70 – 18 – 15(ステージ出ない分) = 37秒

つまり、100は37秒IGTで回収することになる。これを超大雑把にタイムコスト換算すると37 + 15 = 52秒

52秒はCCMレースよりも高いコストになるので、候補にすら入らないことが分かる。

ちなみに、アイクン2匹ルートを使って3秒縮めたとしても52 – 3 = 49秒のコストなので、やはり候補には入らない。

おまけ: LLL100ドンケツ隊ができたとしたら

ミッションの仕様上実現不可能だが、LLL100とドンケツ隊スターを組み合わせたとしたら、コストはいくつになるのか。

この組み合わせにおいて、100を超大雑把にスタータイムに換算すると以下となる。

  • 100ドンケツ隊: 66.46秒IGT
  • ドンケツ隊単体: 23.13秒IGT with 右ルート
  • 100コスト: 66.46 – 23.13 – 15(ステージ出ない分) = 28.33秒

つまり、100は28.33秒IGTで回収することになる。これを超大雑把にタイムコスト換算すると28.33 + 15 = 43.33秒

44秒以下の低コストであるため、難易度次第では採用できるレベルであることが分かる。

おまけ: JRB大砲のコストは?

JRB大砲スターは大砲を使わずに回収するルート(cannonless)でも結構速いタイムで回収できる。

超速いcannonlessを使った場合での大雑把なコストは以下の比較の通りで45.4秒(日本語初期版)。

ただ、日本語初期版は70枚RTA主流のUS版よりも2.4秒程度遅いと言われているので、『日本語初期版に変更してJRB大砲を採用』という条件下だと45.4 + 2.4 = 47.8秒のコストになる。

  • 遅い部類であるCCMレースやHMC煙迷路よりも若干遅い。
  • 超攻めているcannonlessで47.8秒なので、実際はもう少し高いコストになる。
  • 単純に難易度が高い。

という感じなので、候補にすら入らないと思う。

なお、US版でこのスターを回収する場合は、[!]箱を壊すアニメーションなどが増えるため3.6秒程度増える計算になる。

つまり、45.4 + 3.6 = 49.0秒程度のコストになるため、日本語初期版に変更するよりも使い物にならないことが分かる。

おまけ: WDWシクレのコストは?

HMC煙迷路が31.40秒IGTでコストは47.23秒。

WDWシクレ単体は理想タイムは31.90秒IGTなので、コストは48.0秒前後になると予想できる。

つまり、単体で回収するとコストが若干高いのだが、100と組み合わせることで低いコストとなる。